胸郭出口症候群
腕・手・指先のしびれや痛み、感覚異常や脱力感など様々な症状を出す胸郭出口症候群
腕や手に痛みやしびれ、冷熱感や脱力感を感じませんか?
- 洗濯ものや布団を干す
- 腕を高く上げたままの工事や作業
- 吊革につかまる
- ドライヤーで髪を乾かす・セットする
- 買い物袋など重い荷物を持つ
- 腕や指先が青白い、または赤紫色
- 症状はあるのに異常はないと言われた
胸郭出口症候群とは
胸郭出口とは、首から肩や鎖骨にかけての範囲で、主要な血管や神経が多く通っています。
胸郭出口症候群とは、この部分の血管や神経が骨や筋肉等に圧迫・牽引されることによって痛みやしびれなど様々な症状が出るものの総称です。
英語のアルファベットの頭文字をとってTOS(=Thoracic outlet syndrome)と称されることもあります。
血管や神経が圧迫・牽引される部位によって『頸肋症候群』『斜角筋症候群』『肋鎖症候群』『小胸筋症候群(過外転症候群)』の4つに分類されます。
頸肋症候群
頸肋(けいろく)とは解剖学的には頸椎7番(C7)に生じた余剰な肋骨、もしくは横突起の過形成で、その大きさや長さには個人差があります。
元々無くても問題ない骨で、見つかったとしてもほとんどが無症状です。
しかし、この骨が大きくなり過ぎたり伸びた方向が悪いと、神経血管束を圧迫して胸郭出口症候群となります。
頸肋自体が大きくなって圧迫することは稀で、それよりも多くの場合、頸肋の先端から伸びた索状物(線維)と斜角筋が神経血管束を挟み込んで圧迫します。
斜角筋症候群
首(頸椎)の横から首の付け根(肋骨)にかけて「前斜角筋」「中斜角筋」「後斜角筋」という首を動かしたり、息を吸う時に肋骨を引き上げて胸郭を広げる働きをする3つの筋肉が通っています。
神経血管束は前斜角筋と中斜角筋という首の筋肉の間を通っています。
斜角筋は重い荷物を持ち続けたり、無理のかかる姿勢をとり続けるなど持続する負荷によって筋肉が緊張することが多いです。
また、呼吸に関与する筋肉なので、喘息のような過度な負担が継続してかかると筋肉が緊張します。
筋肉の緊張が続くと筋肉は硬く太く短くなり、周囲を圧迫します。
前斜角筋と中斜角筋が硬くなると、その間の神経血管束は挟まれて圧迫され、痛みやしびれを出します。
肋鎖症候群
鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)が狭まったことで、そこを通る神経血管束が挟まれて圧迫されたことによって痛みやしびれが出るものです。
鎖骨には緩いカーブがありますが、このカーブが強い人は肋鎖間隙が広くなります。
反対に鎖骨の形がまっすぐな人は肋鎖間隙が狭まいので症状が出やすくなるのです。
なで肩が原因となる理由は、なで肩だと鎖骨が下がるので、第1肋骨との間の空間である肋鎖間隙が狭まくなる為です。
小胸筋症候群(過外転症候群)
神経血管束は腕に向かって走り、肩関節に近づいた地点で小胸筋の下(内側・深い層)を潜り抜けます。
小胸筋が硬く短くなったり、腕を高く上げると、この小胸筋に神経血管束が圧迫され、痛みやしびれを感じます。
小胸筋は肩甲骨を動かす筋肉でもあり、腕を上げ、肩関節が90度以上になると症状が現れやすくなることから『過外転症候群』という別名もあります。
『過外転』とは腕を横に上げていき、肩関節が90度から180度の区間の事を指します。
以上のように、血管や神経が圧迫されることによって痛みやしびれなど様々な症状が出ます。
主な症状
一般的に多い症状
肩・腕・手のしびれ、だるさ、力が入らない、動かしにくい、細かい動作がしづらい、握力の低下、冷感、違和感、痛み
肩や首のコリ、肩甲骨や背中のコリ、頭痛
動脈が圧迫されると
蒼白・・・動脈血が欠乏して皮膚が赤みを失う
痛み・・・虚血性疼痛(このまま血が行き渡らないと細胞などが死んでしまう為に危険信号として出る痛み)
静脈が圧迫されると
チアノーゼ・・・静脈血が停滞し皮膚が赤紫色になる状態
神経が圧迫されると
しびれ・・・感覚神経の異常
熱感・冷感・・・感覚神経の異常
脱力感・力が入らない・・・運動神経の異常
鑑別疾患(似た症状の病気)
肩・腕・手のしびれ、痛みなど、症状の似た整形外科的疾患はたくさんあります。
よくあるのが「頸椎椎間板ヘルニア」「変形性頸椎症」「頸肩腕症候群」です。
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎(首の骨・背骨の一部)の骨と骨の間で衝撃を和らげるクッションの役割をする椎間板の中身(髄核)が飛び出したことにより神経に触れて痛みやしびれを出します。
変形性頸椎症
頸椎(首の骨・背骨の一部)及び、その骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が加齢により変形し、脊髄や神経根を圧迫することで痛みやしびれを出します。
頸肩腕症候群
頸椎椎間板ヘルニア、変形性頸椎症、胸郭出口症候群などに該当せず(を除外し)、検査をしても病因が特定できないものを呼ぶことが多いようです。
他にも神経や血管を圧迫して痛みやしびれを出す整形外科的疾患はいくつもあります。
気になる方は病院で検査してもらうのがよいでしょう。
この手の病状は、基本的には神経や血管を圧迫して痛みやしびれを出します。
胸郭出口症候群ではなかったとしても施術内容はだいたい同じだったりします。
当院の施術がお役に立てることも多いと思います。
原因
腕を上げ続ける動作
高い場所や天井の工事や作業、吊革に摑まる、洗濯物を干す、シャンプーやドライヤーなど腕や手を長い時間上げていると、神経や血管が圧迫されて症状が出てきます。
体格
なで肩(肩が下がっている状態)は、神経血管束を牽引するので発症しやすい要因です。
スポーツや筋トレ
スポーツや筋トレでもなることがあります。
腕を上げることが多い競技が該当します。
腕や手を高く上げたり、長い時間続けていると、神経や血管が圧迫されるからです。
また、過度な筋肉トレーニングをして筋肉が硬くなったまま放っておくと、肩コリなどの人と同じ状態になり、神経や血管を圧迫して発症します。
スポーツや筋トレをすること自体はとてもいいことです。
運動することによってコリが解消されたりするので本来推奨されるべきものですが、場合によっては原因となることがありますので注意しましょう。
当院での施術
胸郭出口症候群の原因は、神経や血管が骨や筋肉等によって圧迫・牽引されることです。
胸郭出口症候群に限ったことではありませんが、「骨格が本来の位置にない」「筋肉が硬くなっている」等が問題になってきます。
発症から改善までのプロセスは以下の通りです。
筋肉が硬くなると太く短くなり、その筋肉が付着している骨を引っ張り、骨格が本来の位置ではなくなる
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その筋肉や骨格がその周囲の筋肉や血管や神経を圧迫する
↓
当院の施術 筋肉を緩めることで骨格が本来の位置に戻る、また、周囲への圧迫がなくなる
↓
周囲への圧迫がなくなることで、関節や筋肉の動きが回復し、痛みが減る
当院では手技による施術で、胸郭出口に直接コンタクトし、硬くなった筋肉を緩めていきます。
胸郭出口の他、首や肩、腕にも同じように、深くまで圧をかけて緩めていきます。
通常の肩コリに対する施術と比べ、斜角筋や鎖骨周りなどへの働きかけが増し、より胸郭出口症候群に特化した施術内容です。
再発防止策としては、コリを予防する体操があります。
帰宅後に自ら身体を動かして、コリの解消や再発予防に役立ててもらいます。
姿勢に問題がある場合は姿勢を変えましょう。
姿勢のアドバイスも行っています。