ハムストリングス

- update更新日 : 2025年10月28日
folder筋肉の解説

ハムストリングスについて

ハムストリングス(Hamstrings)は、大腿の裏側(太ももの後ろ側)にある3つの筋肉(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の総称です。

蹴り上げたりダッシュの際に使われる主要な筋肉ですのでとても強力です。

今回は3つまとめてお話していこうと思います。

 

どこにある筋肉なのか?

図のとおり、大腿(太もも)の後ろ側で、骨盤と膝裏をつないでいる筋肉です。

ハムストリングスの図

大腿二頭筋(だいたいにとうきん)

起始(始まりの部分)

 長頭(ちょうとう)は、 坐骨結節(ざこつけっせつ)

 短頭(たんとう)は、大腿骨(だいたいこつ)の後面

停止(終わりの部分)

 腓骨頭(ひこつとう:膝の外側)

 

半腱様筋(はんけんようきん)

起始(始まりの部分)

  坐骨結節

停止(終わりの部分)

 脛骨の内側(鵞足:がそく)

 

半膜様筋(はんまくようきん)

起始(始まりの部分)

 坐骨結節

停止(終わりの部分)

 脛骨の内側(鵞足よりやや深い位置)

 

働き(作用)

3つの筋肉は、「膝関節の屈曲」「股関節の伸展」という共通の作用がありますが、

 大腿二頭筋は「下腿(膝から先)を外旋(外にねじる)」

のに対し、

 半腱様筋と半膜様筋は「下腿を内旋(内にねじる)」

という逆の作用もあります。

これは大腿二頭筋が外側に位置するのに対し、半腱様筋と半膜様筋は内側に位置している為です。

ハムストリングスとしてまとめられていますが、それぞれ別の筋肉ですので個別の働きをしています。

 

よく起こる不具合

パフォーマンスの低下

筋肉の伸縮が悪いので身体を思うように動かせず、パフォーマンスが落ちます。

特にスポーツや肉体労働などでは顕著に現れます。

スポーツパフォーマンスが上がらない

痛みや疲れやすさ

背面の筋肉が伸びにくいので前屈すると痛みが出たり、普段の生活でも支障を感じます。

冷え性やむくみ

奥を通る大動脈や大静脈などの血管が圧迫され、流れが滞ることで血行不良を起こし、冷えやむくみの原因となります。

坐骨神経痛

背側中央には坐骨神経という人体内で最大の神経が通っています。

違和感や動きの悪さに始まり、痛みやしびれ、更には歩けないほどに悪化する恐れもあります。

肉離れ

伸びない筋肉を無理に伸ばして起きた最悪の結果です。

充分な準備運動だけでなく、終わった後の整理運動や日頃のケアが大事です。

 

背側中央には太い神経、大動脈、大静脈、リンパ管が通っており、ハムストリングスが硬くなるとそれらが圧迫され、流れが滞ります。

血行不良や神経伝達等、様々な不具合を生じさせます。

 

トリガーポイント(痛みの引き金点)

硬くなった筋肉を押圧するとジーンとする痛みが出ますが、離れた部分にも痛みを飛ばすことがあります。これを関連痛と呼びます。

大腿二頭筋

 大腿背面(太ももの後ろ側)やや外側寄り

 特に膝に痛みが強く出る傾向がある

半腱様筋・半膜様筋

 大腿背面(太ももの後ろ側)やや内側寄り

 特に股関節に痛みが強く出る傾向がある

 

押圧による施術

硬くなったハムストリングスを緩める為、指や肘で押圧します。

ハムストリングスを押圧1

太く大きい筋肉なので角度を変えながら念入りに押圧して緩めていきます。

ハムストリングスを押圧2

大腿背側(ももの裏側)中央には下肢のほとんどを担当する坐骨神経の他、大動脈、大静脈、リンパ管が通っている重要な箇所でもあります。

ハムストリングスが硬くなるとこれらが圧迫されてしまいます。

流れが滞ることで血行不良を起こし、冷えやむくみの原因となるだけでなく、痛みやしびれ、更に悪化すると立つのが難しくなったり歩けないといった重大な問題のも発展しかねません。

神経伝達に支障が出ても、似たような状況に陥ります。

また、腰痛の方には腰だけでなく、ハムストリングスを緩めることが多くの場合有効である為、当院では腰痛の対策として施術しています。